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破産能力(破産できる個人・法人の範囲)

破産能力とは、破産手続開始決定を受けることのできる資格をいうが、破産能力に関する明文の規定はない。破産手続等に関しては、特別の定めがある場合を除き、民事訴訟法の規定を準用するとされているから(破一三条)、民事訴訟法上、当事者能力を有する者が破産能力を有することになる(民訴二八条、二九条)。民事訴訟法二八条は、「当事者能力は民法その他の法令に従う」としており、民法は、個人(民三条一項)と法人(民三四条)に権利能力を認めているから、結局、破産能力を有するのは、個人および法人と民事訴訟法二九条にいう「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるもの」ということになる。

外国人および外国法人については、平成一二年改正前の旧破産法二条が、「外国人又は外国法人は破産に関し日本人又は日本法人と同一の地位を有す。但し、その本国法により日本人又は日本法人が同一の地位を有するときに限る」と規定していたため、破産能力を制限する場合があるかどうかが議論されたが、平成一二年に改正されて右記二条但書が削除され、前述のとおり、新法では三条において、免責能力を含む破産能力について日本人または日本法人と同一の地位を有することが明示され、疑問は解消された。

破産能力の原則は、右に述べたとおりであるが、破産清算の結果、法人格が消滅することを法秩序上是認できない国家や地方自治体(「本源的統治団体」と呼ばれている)には例外的に破産能力はないと解されている。また、健康保険組合のように、債務超過に陥り解散した場合には健康保険法二六条四項によって権利義務が包括的に政府に承継されるというような規定が置かれている法人については、清算を図る必要がないから、このような法人についても破産能力が否定されると解されている。

債権者または債務者(破一八条一項)および法人における理事や取締役などの債務者に準じる者(破一九条一項)は、破産手続開始の申立てをすることができる。債務者が法人の場合には、「自己破産」とされるためには、法律に定める正規の手続きを経て意思決定を行った上で(取締役会を設置した株式会社における取締役会の決議など)、代表権限を有すると認められる者(株式会社における代表取締役など)が破産手続開始の申立てをする必要があるので、取締役会議事録または取締役の同意書が求められる。しかし、取締役など債務者に準じる者による準自己破産申立ても認められているので(その場合には、前記議事録や同意書は不要)、「自己」破産申立てにこだわる必要はない。