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どの裁判所に申し立てればよいか(管轄の問題)

債権者申立ての場合、申立債権者は、破産原因の疎明に加えて、自己の債権の存在の疎明をし、さらに予納金を納める必要がある。債権者申立ての破産は、悪徳商法を行った会社などに対して被害者が債権者となって申し立て、債務者からの資産流出を防ぐとともに、管財人に隠し財産の調査や流出資産の取り戻し等をしてもらうという形で利用されることが少なくない(最近では近未来通信とその幹部に対する破産手続開始申立事件、株式会社L&Gとその代表者に対する破産手続開始申立事件などがある)。

この場合、破産原因の疎明のために債務者の資産状況の概略をいろいろな方法を駆使して把握する必要がある(インターネットや新聞、債務者が作成したパンフレット類や書籍等などによる情報収集がオーソドックスなやり方であろう)。債権者本人の債権の存在の疎明も、特に詐欺で編されたというような不法行為債権の場合は容易でないが、先行して訴訟を提起して判決を取得したり、多数の被害者の陳述書を準備したりして被害状況を疎明しているケースもある(法の華三法行に対する破産手続開始中立事件など)。
 
債務者が営業者でない個人・法人の場合は、普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所である(破五条一項)。普通裁判籍とは、民事訴訟法四条二項により原則として住所地、住所がないときまたは知れないときは居所、日本国内に居所がないときまたは居所が知れないときは最後の住所地となる。債務者が営業者である個人・法人の場合は、主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所である。営業所を有しないときは右の普通裁判籍を管轄する地方裁判所となる(破五条一項)。

新破産法では、破産手続の迅速化・合理化の観点から、前述のとおり、親子会社、法人の代表者と法人、連帯債務者相互間、主たる債務者と保証人、夫婦などでいずれか一方の破産事件が係属している裁判所にもう一方の者が破産を申し立てることができるようになった。大規模破産事件についての特則も設けられた(破五条三項~一〇項)。また、著しい損害または遅滞を避けるため必要があると認めるときに裁判所が職権で移送できるという制度も導入された(破七条)。